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~小児の便秘について~

【みんなのポケット】2023年1月号(NO.239)

Ⅰ.便秘とは?なぜ良くないのでしょうか?
大腸では、便の水分が抜き取られていきます。直腸に到達して自然に排便できれば問題はないのですが、多くの便が直腸内に留まってしまうと、さらに水分が抜き取られて、便がさらに固くなってしまい、固くなった便が直腸に栓をするように留まった状態が「便塞栓」です。そのような状態になると便の栓が邪魔をして新たな便がたまってしまい、排便をするのが困難になってしまいます。このような状態が便秘です。また、便意があっても詰まった便が出ず、泥状~水様便だけが塞栓の脇から出てきてしまう事があり、「便失禁」と言い、一見下痢症状と間違ってしまう事があります。
Ⅱ.何が原因で「便塞栓」が出来てしまうのか?
排便を我慢してしまう事が最も多い原因と言われています。通常であれば直腸に便が到達した時点で便意を感じ、排便します。ところが、過去に便が硬くて排便時に痛い思いをするなどの辛い経験をしていると排便を我慢する習慣がついてしまいます。
Ⅲ.便秘の治療で大切な事
大まかな便秘治療の流れは、
①便塞栓の除去
 グリセリンの浣腸等で、便の塊を除去します。
②苦痛の少ない排便を続ける
 苦痛なく排便できる環境を作る。そのために薬を飲む場合もあります。
③直腸が空っぽで、直腸に便が到達したら排便する、という事が習慣化するようにする
Ⅳ.代表的な便秘の薬を2つ紹介します。
①酸化マグネシウム
 大腸内の水分が抜き取られるのを抑制して、便が固まるのを防止します。ほとんど味は有りませんが、わずかに甘味があります。
②モビコール
 腸管内の水分量を増やして、便を柔らかくして、排便を助ける薬です。少ししょっぱい味がします。1包を60ccの水に溶かして飲むのが基本ですが、水以外の飲料(ヨーグルト飲料、オレンジジュース、リンゴジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料など)に溶かして飲む事も出来ます。