【みんなのポケット】2009年5月号(NO.89)
受動喫煙とは、喫煙者の周囲の人が、自分の意思とは無関係にタバコの煙に暴露され、それを吸入することです。受動喫煙に伴う問題点は、喫煙者以外のものが当人の意志に関わりなくタバコの煙を吸わされ、不快を感じたり病気の原因となってしまうことです。たとえ「分煙」しても、受動喫煙をなくす事は不可能です。受動喫煙は、主に急性影響によって、目のかゆみ、目の痛み、涙、瞬目、くしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁、のどの痛み、頭痛、呼吸抑制、指先の血管収縮、心拍増加、皮膚温低下を引き起こすことから、特に喫煙習慣をもたないものにとって不快と感じられるだけでなく、慢性影響等により、がん、心臓疾患及び呼吸器系疾患などの様々な場所や状況における公衆衛生上の問題となっており、予防医学の観点からも受動喫煙の防止が社会的に求められています。
特に、新生児や乳幼児は、自発運動ができず環境に極めて受動的で、呼吸器や中枢神経などが発達途上であり身体的な影響を受けやすいため、受動喫煙を避けられるような配慮がなされるべきです。胎児も影響を受けます。
タバコの煙の中には、約40種類の発がん物質を含む、数千種類の化学物質があります。 たばこの主な有害物質として、習慣性があるほか血管を収縮させて血流を悪くしたり、血管の老化を早めるニコチン、全身への酸素の運搬を妨げる一酸化炭素、発がん物質のベンツピレンやニトロソアミンそしてダイオキシンまで含まれているのです。たばこの煙は 主流煙(たばこを吸う人が吸い込む煙)と副流煙(火のついたたばこの先から出る煙)に分けられますが、主流煙は、燃焼温度の高い部分で発生し、たばこの内部やフィルターを通過するのに対して副流煙は、燃焼温度が低いため、主流煙に比べて有害物質が高い濃度で含まれています。
受動喫煙が引き起こす障害には、
小児期
*乳幼児の突然死・肺の発育遅延・低出生体重児 *学童期の咳・痰・喘鳴・息切れなどの呼吸器症状
*急性反復性中耳炎・滲出性中耳炎とその治癒の遅延 *小児喘息・他の喘息性疾患・持続する低肺機能
成人期
*心筋梗塞・狭心症・動脈硬化 *肺癌 *副鼻腔癌 *乳がん・胃がん
*喘息・気管支炎・肺炎 *体臭の悪化・鼻の違和感
などがあると言われておりますが、疑わしいものはまだまだたくさんあります。
当院では保険を使った禁煙外来を行っています。